セールスコピーを書く際に、意図的に使い分けたい2つの文体がある。
一つは「ミステリー型ライティング」、もう一つは「サスペンス型ライティング」だ。
前者のミステリー型は、文字通りミステリー小説の構造を模した文体だ。「犯人は誰か!?」という最大の謎を解き明かすように、コピー全体に大きな問いを仕込みつつ、読み進める中でそれを明かしていく文体となる。
たとえば、「投資に成功する人と失敗する人のたった1つの違いは何か?」という問いを提示し、その謎を解きほぐしていくような展開がそう。
書き手と読者との間の情報量の差分を絶妙にコントロールし、解決策を提示する瞬間のカタルシスを最大化する。こうした設計力が求められるため、上級者向き。むずいのだ。
この手法は、読者の好奇心を強く刺激する効果があるため、ハマれば強い。
しかし、書き手への信頼が熟成されていない場合、あるいは問い自体に面白みがない場合、そもそも読んでもらえないというリスクもある。
典型例として、無名の人物が「なぜ、僕は副業で100万円稼ぐことができたのか?その意外な方法とは・・・」と書いても、「そもそも誰だよ」とスルーされる可能性が高い。信頼がない人物が語るミステリーチックな文章ほど読む気が起きないものはない。
その一方。
サスペンス型ライティングは、謎を追いかけるのではなく、すでに明示された課題がどのように解決されるのかというプロセス自体に価値を置く文体である。
先の副業の例で言えば、「僕が副業で100万円稼ぐまでに行ったこと10選」と、最初から手の内を明かすような提示の仕方のことを指す。
書き手への信頼がまだ弱かったり、問い自体に意外性や面白みがなかったりしても有効だ。読者がその分野に興味を持っていたり、解決策を求めていたりする場合、「とりあえず読んでみるか」と思わせるハードルが低い。
無理して謎を作る必要がない場合は、こちらがふさわしいし、どちらかといえば初心者向きである。
ただし、サスペンス型には「大きな謎が解き明かされる」という求心力がないため、読者の好奇心を維持し続けるのは難しい傾向にある。
読んでいてゾクゾクするような興奮は感じにくく、淡々と便利で役に立つ情報が並列されているだけのようにも感じられるからだ。
文体はコピーの目的と読者との関係性に応じて、意識的に使い分けるべきである。この2つを自在に操れるようになれば、ライティングスキルの深度は確実に上がる。
ちなみに、私は普段「ミステリー型」で書くことが多い。そういう案件が舞い込んでくるという事情もあるが、個人的にミステリーや謎解きという構造そのものが好きであり、書きながら、どう謎を設計しようかと考えることに快楽を感じているからだ。

